観光地移住生活

観光地「箱根」で働きながら暮らす。「観光業」って意外と大変?

みつき箱根に移住したい!箱根で暮らしたい!となったとき、「さて、仕事はどうしよう」と考える方も多いと思います。

現在の仕事を移住後も続けられるのであればそれが1番ですが、通勤が難しかったり、仕事を含めて環境をガラッと変えたい、という場合には、移住後に箱根や箱根町近隣で新しい仕事を見つける必要があります。

箱根には、筆者のようにフリーランスで働いている人も、もちろんいます。しかし、元々フリーランスで働いていた人以外は、移住後に自身でイチから仕事をスタートするのはとても大変。

生活費を稼げるようになるまでは1〜2年ほどかかるため、副業的にでも、アルバイトをしたり、派遣で働いたりするのが現実的です。

そこで今回の記事では、「箱根に移住して仕事はあるのか」「生活費を稼ぐことができるのか」についてお話ししていきたいと思います。

箱根ならすぐ見つかる!「観光業」の仕事とは

箱根
「箱根で働く」と聞くと、まっさきに「観光業」をイメージされるのではないでしょうか。

「観光業」といっても仕事は無数にあります。

土産物店や温浴施設、飲食店の接客や調理、路線バスや巡回バス、送迎バスやタクシーなどの運転&案内、ホテルや旅館のフロント&レストランの調理・接客・清掃、観光客向けガイド、社員寮や小規模旅館・リゾートマンションの管理人、飲食店やホテルレストラン用の食材配達、寝具関連のクリーニング・・・。

想像以上にたくさんの仕事があることがおわかりいただけると思います。

これだけの仕事があるにも関わらず、現在はどの業種、どの店舗も常に人手不足に陥っています。

箱根で働く人の多くは町外から。寮住まいも有り

湯本買い出し
箱根町で実際に暮らす人(住民登録をしている人)の数は、2023年11月1日現在で10,951人。世帯数は6,446世帯となっています。

この人数には子供〜年配者までがすべて含まれますし、筆者のようなフリーランスや町・県外へ仕事に行っている人も含まれるため、当然すべての人が観光業に従事しているわけではありません。

一方、箱根町に訪れる観光客の人数は、2023年で年間約1800万人と、コロナ禍以前の水準に回復すると見込まれています。「箱根町民全員が観光業で働いたとしても、まったく人手が足りない」というのが現実です。

この足りない分の働き手は、小田原や御殿場、三島方面から通ってもらったり、町・県外の方に、社員や派遣・アルバイトとして寮住まいしながら働いてもらうことで補っています。

実際にはどのくらい稼げる?箱根の時給と働く場所

箱根
ここまでの内容で、箱根は日々多くの観光客で賑わい、常に人手不足であることがおわかりいただけたと思います。

では実際に箱根の観光業に従事した場合、どのくらいの金額を稼ぐことができるのでしょうか。

2023年現在、箱根町のある神奈川県の最低時給は1,112円となっています。最低時給が1,000円を超えているのは全国で8都府県のみ。

その中でも、1,100円を超えているのは東京都と神奈川県だけとなっています。

当然、箱根町でも最低時給は1,112円ですから、それ以下の仕事は基本的には無いため、アルバイトやパート、派遣であれば都心並に稼げるということになると思います。

社員の場合は、最低時給に準じた金額でのスタートとなることから、月給にして20万円台前半となり、都心と比べると安くなる傾向にあるようです。

このあたりは残業の有無でも変わってきそうですね。

村上梅干店
箱根町の中では、特に箱根湯本駅周辺にホテルや土産物店、飲食店が集中しています。

小田急線やロマンスカー・箱根登山鉄道、箱根登山バスや伊豆箱根バスの始発・終点駅である箱根湯本駅は「箱根の玄関口」と呼ばれ、箱根に訪れる観光客が必ず訪れる場所。

箱根町の求人も箱根湯本駅周辺の店舗・ホテルが多い印象を持たれていますが、小田原から通勤しやすい箱根湯本駅でも、大半のホテル・店舗では常に人手不足になっています。

時給は最低でも1200円以上。店舗によっては1500円以上というところもありますが、そこまで時給を上げても、観光客に対応できるだけの人数を集めるのは難しいようです。

また、小田原方面からの通勤が見込める箱根湯本駅周辺でも常に人手不足であることから、湯本から先の宮ノ下、小涌谷、強羅、宮城野、大涌谷、芦ノ湖周辺の地域となると、人手不足はさらに深刻になります。

例えば、小田原から芦ノ湖のある箱根町港付近へ行くとなると、通勤手段は自家用車かバスの2つしかありません。バスでの通勤は最低でも片道1時間以上かかり、繁忙期には渋滞に巻き込まれ、2時間以上はかかります。

自家用車の場合も、迂回ルートを使っても1時間ほどかかり、ガソリン代も会社負担の金額だけではとてもたりません。

通勤自体に時間もお金もかかることから、湯本から離れるごとに、時給は少しずつ上がる傾向にあるようです。

時給1500円でもフルタイム働けるとは限らない

箱根百薬
箱根は時給1200円以上の仕事が多いのですが、それでも、フルタイムでしっかり稼げるとは限りません。

社員であればもちろん、週5日フルタイムでさらに残業つき、なんて働き方が可能ですが、アルバイトやパート・派遣の場合は、「今日は暇だから早く上がって」と言われることが多々あります。

反対に「忙しいから」と残業を頼まれることもあるため、毎月予定額が稼げないといったことはまずありません。

しかし、残業を希望しない人や、毎日同じ時間だけ働きたい人からすると不安が残ります。「安定して働けるのか」というと、やや疑問が残るといったところ。

また、特にホテルや旅館の清掃に従事する場合はチェックアウトの9〜10時頃から、チェックインの15〜16時までの勤務となることが多く、1日4〜6時間勤務が基本となるようです。

さらにホテルのレストランでは、早朝6時から朝食の時間に働き、皿洗いなど後片付けが終わる11時頃から一旦休憩、夕方16時に夕食の仕事がスタート、という「中抜け」というシステム(制度)を採用しているホテルが大半。

勤務時間自体は6〜7時間でも、間に5時間弱休憩を挟まなければいけないといった「早朝から深夜まで自由がきかない」という状態になることが多いです。

結局いくら稼げるの?我が家の場合

ワーケーション
我が家では夫が以前社員として観光業に従事していました。現在もフリーランスとして働きながら、副業的に派遣、バイトに行くことがあります。

現在のバイトはホテルの清掃業。自宅から近いのは嬉しいのですが、車通勤でも通勤費用が出ていません。(小田原方面からの通勤には送迎バスがあるようです)

その分時給は高めで1500円。人手不足ということもあり、1日7〜8時間働くことができています(帰宅時間は日によって違います)。夫はフリーランスでの仕事もあるため、週3〜4日の勤務です。

フルタイムで働いた場合、単純計算で1日7時間勤務で10,500円、週5日×7時間働けば、1週間で52,500円。月に22日出勤すると231,000円稼げる計算になります。

しかし、ガソリン代は給与から捻出しなければならず、さらに社会保険・年金・住民税を差し引くと、手取りは18万円弱といったところ。

生活していくには十分な金額といえますが、日数や時間が減ればその分は当然金額も減るため、平均すると16〜17万円程度になるのではないでしょうか。

仕事だけじゃない!「どこに住むか」も、とても大切

雪
「月17万円じゃとても暮らせない」という方もいらっしゃるかもしれません。

我が家は夫婦ともにフリーランスとして働いているため、清掃バイトを含めると、月の収入は40万円弱となり、生活にはかなり余裕があります。

しかし、少ない収入でもラクに暮らせるように、住む場所もじっくりと考えてから選択しました。

現在私たち夫婦が住んでいるのは中古のリゾートマンション。価格に諸費用を含めた金額は300万円ほどで、一般的なマンションの価格の1/10程度となっています。

さらに、月々支払っている管理費には、修繕積立費と上下水、温泉使用料、冬の暖房費用までが含まれて44,000円程度。光熱費は管理費以外には電気代(月に10,000円程度)がかかるだけなので、毎月の自宅の維持にかかる費用がかなり低いのです。

日々の生活にかかる費用が低ければ低いほど、稼ぐ金額は少なくて済みます。

我が家の場合は、自宅マンションの購入費用である300万円をローンにしたため、あと数年は返済にプラス4万円ほどかかりますが、それでも全体の生活費はかなりお安め。

これからも適度にバイトし、適度にフリーで働きながら、のんびりと箱根生活を満喫していきたいと考えています。

 

・移住に興味がある方におすすめの書籍「あたらしい移住のカタチ」(PR)